熱さを増したパソコン
終わらない作業と山になっている灰皿に眩暈を覚えた

暑さも一段落した秋の始まり
微力の風に変えたてのシャンプーの匂いが鼻についた

深夜4時半
何処からかピリリリと無機質な音が聞こえた
枕元の携帯は光らない、少し休もうか…


『素直になれればいいのに』
何に、誰にとかじゃなく、理由も無く心が呟く
与えていればいつか辿り着ける気がしたのに…

『優しいね』
誰かがいつか、言ってくれた
けれどそう言うあなたが優しいんだよと、どうして言えなかった?

現実なのに非現実的な世界に居るようで
心が置き去りになる

涙は何処へ置き去りにしたんだろうか、溢れれば楽になる?
瞳に熱さを感じても押さえ込む力は必要じゃないのに

そんな時に頬を撫でてくれるはずのあなたは、どこだったっけ?

忘れたよ、忘れたさ
もうどうしようも無いから。

気付けば外は薄青く光る

『変わってしまったよね』
そう言われたのはいつの頃だっただろう
遠く、遠く昔のようで、すぐ傍にあるような記憶の声

『ごめんね』
誰に、何にとかなんじゃない、ただ溢れた感情の欠片
形の無い無造作な物は見えないから愛しいと思えるのに…


―こんな時にそっと隣に居てくれるはずのあなたは、誰だったっけ、?


例えばの話
真っ直ぐなピストルより
折曲がったナイフで願いたい

馬鹿みたい、馬鹿だろう
もうどうにも出来ないなんて、嘘なのに

【逃げてしまったのは私だ】

【だってそれが一番カンタンだったから】


非現実なのか現実なのか分からない世界に迷い込む
心が悲鳴をあげている

枕元の携帯が無機質に鳴いた、その音が
死刑宣告とも神のお告げのようにも

思えた、秋の朝――…


忘れないよ、馬鹿だからね?